【目次】
「エモい」とは、心や感情が大きく揺さぶられた時などに使われる造語(スラング)
Z世代を中心に広がるエモ消費とは
エモ消費の代表ともいえる「界隈消費」とは
エモいのまとめ
「エモい」とは、心や感情が大きく揺さぶられた時などに使われる造語(スラング)
エモいとは、心や感情が大きく揺さぶられたときの「なんとも言い表せない気持ち」を表現するために用いられる、Z世代を中心とした若年層の間で浸透している俗語(スラング)です。大辞林 第4版では、「(形)〔感動を意味するエモーション(emotion)から〕(主に若者言葉で)心に響く。感動的である。」とされています。特定の意味を持つのではなく、さまざまな感情が表現できるもので、状況によってニュアンスが変化します。懐かしい、趣がある、ぐっとくるなど感傷的、感動的、ノスタルジックといった意味を込めて使われることが多いですが、切ない、寂しい、物悲しいなど哀愁的な感情を表現することもあります。エモいという言葉自体は2006年頃から若者を中心に使われていましたが、株式会社三省堂が開催した「今年の新語2016(外部サイトに移動します)」の第2位 に選ばれたのがきっかけで流行し、急激に認知度が高まり一般的に使われるようになりました。
「エモい」の語源
「エモい」という言葉の由来は諸説あり、語源だと言われている言葉は以下の3つです。
1.「Emo(イーモウ、エモ)」(音楽ジャンル)
Emoとは、1990年代にアメリカで生まれた、ハードコアを原点に持つロックミュージックのジャンルの一種でエモーショナル・ハードコアの略称です。メロディアスなサウンドやセンチメンタルな心情を綴った心を揺さぶるような情緒的な歌詞が特徴で、2000年代に若者の間で人気が高まり、音楽だけでなくファッションシーンやライフスタイルにも影響を与えました。音楽業界でEmoをエモいと表現されていたことが、日常生活にも広がり、切ない気持ちになる、感動するものに対してエモいという言葉が使われるようになったいうのが、「Emo(イーモウ、エモ)」語源説です。
2. 「えもいわれぬ」
何とも言い表せない、形容しがたいという意味をもつ日本語の「えもいわれぬ」から生まれたとされるのが、「えもいわれぬ」語源説です。
3. 「emotional」
感情的な、感情に訴えるという意味をもつ英語、「emotional」を日本語読みで「エモーショナル」とし、「エモい」へと省略されたのではないかというのが、「emotional」語源説です。
「エモい」コンテンツの特徴と「エモい」が使われるタイミング
写真、音楽、小説、映画、アニメ、イラストなどのコンテンツにふれた際に感情が揺さぶられた、感動した、共感したなどの体験をした場合、そのコンテンツはその体験をした人にとってエモいコンテンツだといえるでしょう。エモいかどうかは、コンテンツの制作者の意図とは関係なく、コンテンツにふれた人がどう感じるかにより、基準もありません。エモいコンテンツは「#エモい」といったように、感情を表すコメントのハッシュタグとともにSNSに投稿されるケースが多いため、マーケティングやPR施策として、共感されて拡散されるように意識して制作されるコンテンツもあります。ただし施策を検討する際には、広告に対して嫌悪感を持っている傾向が強いと言われており、User Generated Contentの略で、一般ユーザーが自発的に生成したコンテンツを指す「UGC」を好むといった、発信力や拡散力が高いZ世代の特徴を加味する必要があるでしょう。
多くの人が「エモい」と表現する場面やシチュエーションの代表例を紹介します。
美しい風景に感動したとき
自然の壮大さや四季折々の風景の美しさに心が動いたタイミングなどで使われます。特別な環境でなくても、例えば、日常の中で夕焼けを見ているとき、桜吹雪に遭遇したとき、夕立ちの後の虹を見たときなども使われやすいでしょう。
心が揺さぶられる体験をしたとき
感動する映画を見たり、好きなアーティストのライブへ行ったり、憧れの人物と対談したときなど、心が揺さぶられ、高揚するような体験をしたときにも使われます。
懐かしさや切なさを感じたとき
子どもの頃によく利用していた場所を訪れた、旧友と偶然再会した、青春を想起させるものを見聞きしたなど、昔の記憶がよみがえるような懐かしさを感じたときも、エモいと表現されます。純喫茶やフィルムカメラなどレトロな雰囲気を感じる場所やモノに対しても、季節の変わり目を感じる景色や夕日に染まった風景を見ている、失恋をした時など切なさを感じる際にも使われます。
Z世代を中心に広がるエモ消費とは
エモ消費とは、1990年代後半~2010年に生まれたZ世代によく見られる消費行動で、単に商品やサービスの機能性だけではなく、商品やサービスから得られるポジティブな感情を起点にした消費行動のことを指します。消費を通して仲間と共感しあうなど、精神的な満足に結びつくことが特徴だといえます。商品の所有に価値を見出す「モノ消費」から体験に価値を見出す「コト消費」を経て、特定の場所や時間でのみ味わえる体験に価値を見出す「トキ消費」、商品の購入で生まれる社会貢献的な要素に価値を見出す「イミ消費」と時代の流れと共に変遷しています。
エモ消費の代表的な例をいくつか紹介します。
レトロな商品
使い捨てカメラを含むフィルムカメラや、アナログレコード、カセットテープ、古着、レトロな文房具などが該当します。手間がかかり不便さはあるものの、その手間こそが特別な体験となり、現在の商品と比べると性能が低いからこその質感によって醸し出される温かみを感じることなどが、感情的な満足度につながり注目が集まっています。
推し活
推し活に関する消費が該当します。販売しているグッズを購入したり、推しが出演するイベントに参加することだけでなく、推しの誕生祝いのために広告を購入したり、オリジナルのグッズを制作したりする例もあります。SNSで共有され、推し仲間で同士が交流することにより、更なる消費行動も促しているといえるでしょう。
エモ消費の代表ともいえる「界隈消費」とは
界隈とは、もともとは地理的な範囲を示す言葉でしたが、特定の趣味やコミュニティーを指す言葉として共通の好きなものや趣味、価値観などを持つ人々の集まりを指すようになりました。2024年の「現代用語の基礎知識選『ユーキャン新語・流行語大賞』(外部リンクに移動します」では、トップテンに入るほど、Z世代を中心にSNSで急速に広まり流行しています。界隈は、SNS上で流行語のように言葉として使われるものや派生してミーム化されるような「トレンド系」、共通の価値観や特徴、テーマを持つコミュニティーといえる「ジャンル系」、好きなものを通じてつながるコミュニティーといえる「推し・趣味系」の大きく3種に分類できます。
界隈消費とは、界隈内で生まれる消費行動を指します。エモ消費の代表例の1つで、単なる商品の購入だけではなく、「自分がこの界隈の一員である」というアイデンティティを表現することや同じ界隈に属する他者とのつながりの強化に重きが置かれている点が特徴です。
例えば、グルメ、美容、ファッション、キャンプやサウナ、鉄道など趣味全般、副業、AI、スタートアップなどビジネス関連、子育て、節約などライフスタイル関連といったように、多種多様、幅広い軸で発生するのが界隈消費です。界隈内の共感力や信頼性が高いため、界隈内で話題になると消費が促進され急速にトレンドがつくられる傾向があること、界隈は強い情報発信力と伝播力を持っているため、ある界隈でつくられたトレンドが別界隈に波及していくという傾向もあることから注目を集めています。
エモいのまとめ
以下に、エモいについての要点をまとめます。
・「エモい」とは、心や感情が大きく揺さぶられたときの何とも言い表せない気持ちを表現するために用いられる、若年層の間で浸透している俗語(スラング)。
・商品やサービスから得られるポジティブな感情(エモさ)を起点にした消費行動「エモ消費」がZ世代を中心に広がっている。
・エモ消費の代表例である「界隈消費」(界隈内で生まれる消費行動)が昨今注目されている。
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