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新たなつながりとアイデアの宝庫――各地で開催される“マルシェ”はショップオーナーの可能性を広げる

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西田嘉孝
概要

フランス語で「市場」を意味するマルシェ。日本では古くから、青空の下で採れたての野菜や魚介類、加工品などを販売する「朝市」などが全国各地で開かれてきました。2000年代以降には「マルシェ」「蚤の市」「ファーマーズマーケット」などと呼ばれる、都市部で開催される都市型マルシェも増え、多くの人々の日常の楽しみとなっています。そんな都市型マルシェの運営を中心とする事業を、2009年にスタートしたのが株式会社NKB の運営するNKB farm。“オーガニック&ナチュラル”をテーマとする「YEBISUマルシェ」をはじめ、全国各地でマルシェを運営する同社の寺田裕史氏に、中小店舗経営者、ショップオーナーがマルシェに出店する意義や、そこから広がる可能性などを聞きました。

      出店を重ねるうちに、自ずと生まれる“横のつながり”

       

      たとえば、第2・第4日曜日に開かれるYEBISUマルシェ。今年で13年目を迎えるこのマルシェには、野菜や果物、加工食品など常時30〜40のつくり手たちが出店し、なかには第一回から参加する“大ベテラン”も存在するといいます。

       

      「マルシェに長く出店される方に共通するのは、“マルシェという場全体をより良くしたい”という思いを持ってくださっていること。私たちのマルシェでは、ベテランの出店者さんの隣に初めての出店者さんの店舗を並べるような工夫をしていることもあり、ベテランの出店者さんが初めて出店する方に親身になってアドバイスをする姿もよく見られます」

       

      そう話す寺田氏によると、マルシェでは出店者同士がアドバイスを送り合い、何気ない会話を重ねるうちに、自ずと“横のつながり”が生まれていくのだとか。

       

      マルシェへの出店には、新たな販売チャンネルの開拓というメリットもあります。しかしそれ以上に、同じような悩みを抱えていたり、あるいはそうした悩みを解決する知見を持つ多様な出店者と知り合う機会となります。ショップオーナー仲間との出会いの場であることもメリットであるといえるのではないでしょうか。

       

      「また、そうした出店者同士の対話やお客様との対話を通じて、出店者自身が提供する商品の本来の価値に気づくことができるのもマルシェに出店するメリットです」と、寺田氏は話します。

       

      テストマーケティングなどに予算をかけられない中小店舗経営者、ショップオーナーにとって、自分の商品にどのような提供価値があるかを客観的に理解するのは難しいもの。

       

      「その点、マルシェではダイレクトにお客さんの反応を知ることができるうえ、価格設定の仕方や自分では思いつかなかった商品の楽しみ方、販売方法などについても、お客さんや他の出店者さんとの対話のなかで得たアイデアを、その場で試すことができます。地域の内外から多くの店舗が出店するマルシェには、ショップオーナーさんにとって有効なヒントがたくさん詰まっていますからね。いわばカジュアルなテストマーケティングをその場で繰り返すことで、自分の商品の本来の価値や新たな魅力に気づくことができるのです」(寺田氏)

       

      株式会社NKB 執行役員 寺田裕史氏

       

       

      仲間づくりからコラボ商品まで、広がる数々の可能性

       

      他にも、マルシェでの出会いが新たな商品の開発につながるなど、出店者同士のつながりのなかから生まれるコラボレーションもマルシェの醍醐味。実際にNKB farmが運営するマルシェからも、様々なコラボ商品が生まれています。たとえば、マンゴーを販売する出店者とスイーツの出店者が協力してドライフルーツを商品化する、オリーブオイルを扱う出店者とチーズの出店者が手を組んでチーズのオリーブオイル漬けを販売する、果物の販売店が生産者と知り合って「〇〇さんの作ったブルーベリー」と銘打った商品を売り出すなど、ユニークなコラボ商品が実現しているそうです。

       

      「出店者同士でコラボレーションをして新たな商品をつくり、マルシェで販売するといったケースは日常茶飯事になっています。また、パッケージデザインなどクリエイティブに優れた出店者さんが、他の出店者さんの商品のデザインの相談に乗ってあげている姿などもよく見かける光景です。さらには、高齢の生産者さんから野菜や果物のことを教えてもらうかわりに、若い出店者さんがSNSの使い方を教えてあげるなど、微笑ましいコラボレーションが行われている様子も各地のマルシェで見かけますね」(寺田氏)

       

      各地でこだわりを持って野菜や果物を栽培する生産者の出店も多いマルシェには、そうした生産者のネットワークや情報などが多く集まります。インターネットやSNSだけでは知り得ない“こだわり”の生産者と出会い、同じ出店者同士という仲間として色々な相談をすることができる。特に食料品を扱うショップオーナーにとっては、それも嬉しいポイントになりそうです。

       

      また、「マルシェでの出会いを通じて、地方の農家さんの収穫期に都市部の出店者さんがお手伝いに出かけたり、災害などがあった際には力を合わせて援助したり、普段から仲間として活動する人たちも出てきています。なかには、マルシェやビジネスを超えてプライベートでも長く交流が続く方もいらっしゃるんですよ」と、寺田氏。

       

      売り上げを競うライバルではなく、出店を重ねるうちに仲間となり、時にはストーリーのある魅力的な商品開発にもつながっていく。孤独な中小店舗経営者、ショップオーナーにとって、マルシェへの出店は、様々な可能性を広げてくれるチャレンジの場となっているのです。

       

      恵比寿ガーデンプレイスが会場となるYEBISUマルシェ。マルシェでは出店者同士のコラボレーションもたくさん実現してきたという ⒸKITCHEN MINORU

       

      誰もが最初は初出店。勇気を持って新たな一歩を踏み出そう!

       

      とはいえ、そうした数々のメリットは、「一度だけでの出店ではなかなか得るのが難しいかもしれません」と、寺田氏は話します。

       

      「やはり大切なのは続けること。継続的に出店するなかで仲間や商品のファンが増え、マルシェに出店する価値もどんどん高まっていくはずです。出店に際して重要なのは、できれば実際に開催されているマルシェに足を運び、自分自身で雰囲気を感じてみること。それぞれのマルシェによって顧客層やコンセプト、出店条件などは大きく異なりますので、まずはお客さんとして参加してみて、実際に自分が出店としたいと思えるのかどうかを、ご自身の目で確認することが重要だと思います」(寺田氏)

       

      もちろん、初めて参加する方にとって、マルシェへの参加はそれなりにハードルが高いのも事実。マルシェの出店には興味があるものの、二の足を踏んでいるショップオーナーも多いのではないでしょうか。そんな方には、「初出店に際しての不安やわからないことなどを、運営に気兼ねなく聞いて欲しい」と寺田氏。実際に、マルシェの会場にいる運営スタッフが、通りがかりの人から「どうすれば出店できますか」などと尋ねられる例も多いそうです。

       

      「私たちのマルシェでは“出店者ファースト”の運営を心掛けていますし、すべてのマルシェは出店者さんが存在しなければ成り立ちません。せっかくマルシェへの出店に興味を持たれたのなら、どのような些細な質問でも運営にぶつけてもらえればいいと思いますし、特に初出店であれば事務局に大いに甘えてください」(寺田氏)

       

      各地で開催されるマルシェは地域の顔となり、地域に貢献し、地域の価値を向上させる取り組みとしても大きな注目を集めています。出店者である、中小店舗経営者、ショップオーナーにとっては、仲間づくりの場となり、お客さまからのダイレクトな反応や、より良い商品開発のヒントを得られる貴重な場ともなるマルシェ。寺田氏の言葉通り、運営側に頼りサポートが受けられるので安心して、新しい一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

       

       

      アメリカン・エキスプレスは、中小店舗経営者、ショップオーナー支援の取り組みとして、街のお店を応援するプログラム「SHOP SMALL(R)」を世界中で展開しています。

       

      SHOP SMALLは、東京・恵比寿で人気の“YEBISUマルシェ”とコラボレーションし、2023年9月23日、24日に“SHOP SMALLマルシェ @EBISU” を開催。全国から37店舗の地域や地元で親しまれる小さなお店が集まりました。

       

      普段はなかなか訪れる機会のない地域のお店も、地元の人のみぞ知る一押し商品も。

       

      SHOP SMALLマルシェ @EBISU出店店舗

      ※以下、店舗名をクリックいただくと外部サイトに移動します

      Aujourd'hui(北海道)

      お茶の中西翠香園(北海道)

      MARUICHI SHOP 厚別本店(北海道)

      早野商店(岩手県) 

      Flower Studio S(茨城県)

      CARAMEL POPCORN COMPANY(東京都) 

      ギリシャ料理 ΦΙΛΟΙ <フィリ>(東京都) 

      Coco:Ange(東京都)   

      自家製酵母パン SLOW(東京都)

      ceramicara (チェラミカーラ)(東京都)

      tsudoi(東京都)

      (株)土木田商会(東京都)

      BudgetWalker(東京都)

      hana~saku(東京都)

      FAVORITE THINGS(東京都)

      LIFFT(東京都)

      Le Comptoir(東京都)

      いわしや(神奈川県)

      otoneiron(神奈川県)

      南信州フルーツブラウニー専門店 belieble(長野県)

      岐阜・柳ケ瀬 大熊果実店(岐阜県)

      Rokumoku(静岡県)

      菓子屋 藤ノ宮(愛知県)

      白いオリーブ(愛知県)

      文藝フルーツ(愛知県)

      Ninomachi street cookie(三重県)

      革工房GYPSY(京都府)

      公園と、タルト(大阪府)

      cotocoto kitchen scones(大阪府)

      Sumi's PDX BEER & MARKET(大阪府)

      プティアルシェ(奈良県)

      諏訪園茶舗(和歌山県)

      しまのぱんsouda!(広島県)

      米沢サンゴ店(高知県)

      ACB工房(長崎県)

      熊本カヌレ専門店 mu(熊本県)

      mille(宮崎県)

       

       

      ■プロフィール

      寺田 裕史

      株式会社NKB 執行役員

       

      2002年4月株式会社NKB入社。営業部門での営業活動を経て、2010年7月新規事業部署を担当。2021年7月より現職。 営業部門時代、営業活動を中心としながら、プロモーションプランニング、WEBプランニング等担当。新規事業部署では、食関連企業のコミュニケーション活動全般の設計・推進、また食の力で地域を元気にする「マルシェ」を中心とした事業開発を行う。2019年には、年間180回を超える“マルシェ”を日本全国で開催。またコロナ禍の2020年には、シェフによる医療機関に働く方々の応援企画「Smile Food Project」の立ち上げメンバーの1人として一翼を担った。 【主な受賞歴】 2020年度グッドデザイン賞、フレンチビジネス大賞2020“Company of the year”受賞 日経広告部門賞最優秀賞、交通広告グランプリ優秀賞、東京屋外広告協会会長賞、 APAアワードほか多数の賞を受賞。

       

       

      ■スタッフクレジット

      記事:西田嘉孝 写真撮影:遠藤宏 写真提供:ⒸKITCHEN MINORU 編集:ニューズウィーク日本版

       

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      Published: 2023年9月20日

      Updated: 2024年9月19日

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