【目次】
リファラル採用とは、既存従業員からの紹介を活用した人材採用手法
リファラル採用と縁故採用の違い
リファラルの意味とビジネスでの活用例
リファラル採用のメリット
リファラル採用を導入する際の注意点
リファラル採用のまとめ
リファラル採用とは、既存従業員からの紹介を活用した人材採用手法
リファラル採用とは、現在活躍している従業員から人材を紹介してもらう、という採用手法です。限られた従業員が紹介者となるのではなく、すべての従業員が紹介者となり得ることが大きな特徴です。従業員から各自が持つネットワークの中から、社風やカルチャーへのフィットが高いと思われる人材が紹介されるため、多様な人材が集まります。また、応募時にはすでに企業理解が深まった状態となっているためミスマッチが起こりにくく、長期的な活躍が期待できるでしょう。そのため近年は、人材紹介会社や求人媒体を併用しながら、リファラル採用を導入する企業が増えています。
リファラル採用と縁故採用の違い
縁故採用では、有力者などにより血縁関係や身近な関係者を、採用を前提とした候補者として紹介されることが多いでしょう。採用基準を満たしているかにかかわらず、特別ルートとして優遇され、採用にいたるケースもあるため、公平性が保たれていないなど、ネガティブな印象をもたれることも多いでしょう。
リファラル採用では、紹介された候補者の能力やスキルが採用基準を満たしているかどうかを見極めたうえで採用するケースが多く、必ずしも採用されるとは限りません。
リファラルの意味とビジネスでの活用例
リファラル(referral)とは、「紹介」「推薦」「委託」を意味する英語です。主にビジネス用語として使用されるケースが多く、情報や人材など何らかの紹介、推薦を受ける手法を指します。ビジネスでの活用例はリファラル採用をはじめ、多岐にわたりますが、ここでは代表的な例として、「リファラルマーケティング」と「リファラル営業」について解説します。
リファラルマーケティング
リファラルマーケティングとは、既存顧客からの口コミや紹介を通して、商品やサービスの価値波及や新規顧客の獲得を狙うマーケティング手法です。
一般的に消費者は、広告よりも友人や家族の意見を信頼する傾向が強いといわれています。紹介者と被紹介者の間の信頼関係が強ければ強いほど、情報の信頼性が増し、前向きに検討されやすくなるといえるでしょう。
マーケティング分野で活用されるフレームワークのひとつに、サービスの成長段階を表す「AARRR(アー)モデル」があります。シリコンバレーのベンチャーキャピタル「500 Startups」の創業者デイブ・マクルーア氏が提唱したモデルで、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の順にサービスが成長していくという考え方です。リファラルは4段階目となりサービスの成長に必要不可欠なものであるとされています。
また、スタートアップ投資の世界では、ブランドがどれだけ紹介される力があるかを示す指標である「リファラビリティ」という用語が定着し、投資家たちが最も気にする指標の1つとなっています。このことからも、リファラルはビジネスの成長にとって重要な要素であるといえるでしょう。
リファラルマーケティングの代表的なモデルといえるのが、友達紹介や紹介キャンペーンなどのプログラムです。既存顧客である紹介者および被紹介者に対して、インセンティブ(報酬)が提供されるスキームが一般的です。
紹介する方もされる方も嬉しい特典のご用意があるアメリカン・エキスプレスの「ご紹介プログラム」
アメリカン・エキスプレスのカードも、もちろんカード会員様専用の「ご紹介プログラム」を通してご紹介いただけます。ぜひ活用ください。
リファラル営業
リファラル営業とは、いわゆる紹介営業のことで、既存顧客や税理士、弁護士、コンサルタントといったビジネスパートナーからの紹介に基づく営業手法です。
信頼できる第三者の紹介を通じてアプローチできるため、通常の営業活動よりも「信頼を得るまでのプロセス」に要する時間を短縮しやすいことが利点といえます。加えて、アプローチする段階ですでに商品やサービスに興味を持たれているケースが多くなるため、新規営業や広告による反響営業よりも成約率が高くなる傾向にあるでしょう。
リファラル採用のメリット
リファラル採用を導入することで期待できるメリットを3つ紹介します。
他社との競争を避けつつ、潜在層へのアプローチも可能
少子高齢化に伴い、日本の生産年齢人口(15~64歳)は減少傾向にあります。内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書(外部サイトに移動します)」によると、2050年には生産年齢人口(15~64歳)は約5,275万人(2021年と比較して29.2%減)に減少すると予測されています。採用競争がますます激化することが予想される中、他社との競争を避けつつ優秀な人材を採用するための手段として、リファラル採用を導入する企業が増えています。
加えて、エージェントに登録したり、求人広告を見たりして積極的な転職活動を行っている層ではなく、転職を積極的に考えていない「潜在層」にアプローチが可能な点も、リファラル採用のメリットです。従業員が持つネットワークの中には、従来の採用活動では接点を持ちにくかった人材も多く含まれます。採用の母集団が広がることで、より多様な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
定着率の向上
人手不足を回避するためには、既存従業員の離職を防ぎ、定着率を高めることも重要です。リファラル採用は、ミスマッチが少ないため、定着率の向上期待できます。自社の文化を理解している従業員が紹介することによって、候補者の企業への理解が深まりやすくなるため、入社後に「思っていた仕事と違う」などと感じるギャップが少なく、定着しやすくなります。また、紹介者を介して社内ネットワークを築きやすくなることも離職防止につながるといえるでしょう。
関連記事:英米での調査から見えた「Z世代に魅力的な職場」の条件とは?
採用コストの削減
リファラル採用を導入するメリットの一つといえるのが、採用コストの削減です。企業の採用活動にかかるコストには、求人広告やエージェントの利用手数料などの外部コストと、面接担当者の人件費などの内部コストがあります。リファラル採用を導入することで広告媒体やエージェントの利用を減らすことができるため、場合によっては大幅なコストの削減も期待できるでしょう。
リファラル採用を導入する際の注意点
リファラル採用を導入する際に気をつけたい3つの注意点を紹介します。
仕組みづくりと社内周知
リファラル採用を導入する際に重要となるのは、リファラル採用のプロセスを明確にし、従業員の参加意欲を高める環境を整え、リファラル採用のメリットや協力する意義を従業員に周知することです。単に「良い人がいたら紹介してください」と呼びかけるだけでは、リファラル採用はうまく機能しません。従業員が安心して人材を紹介できるよう、紹介によって負担が増えたり、候補者や会社との間で信頼関係が損なわれたりしないような仕組みづくりが必要です。
従業員からの積極的な協力を得るためには、「なぜリファラル採用が必要なのか」「どのようなメリットがあるのか」をしっかりと正しく理解してもらうことが大切です。どのようなインセンティブがあるのか、紹介の手順や不採用の場合にはどのように対応されるのかなども含め、しっかりと周知しましょう。リファラル採用では、不採用時の対応が特に重要なポイントとなります。丁寧に、十分なフォローができる体制を整えましょう。
採用に必要な期間
リファラル採用では、転職活動をしていない潜在層が対象となることも多いため、候補者が転職を決断するまでに時間がかかる、または退社のための調整が必要となるなど、必ずしもすぐに入社が可能な状態であるとは限りません。人手不足をすぐにでも解消する必要がある場合や即戦力を求める場合は、エージェントなどを活用する方が有効なケースもあります。リファラル採用は将来の人材確保として併用するなど、採用に必要な期間や必要に応じて使い分けましょう。
組織全体の多様性の確保
一般的にリファラル採用では、紹介する人材は紹介者に近しい価値観や考え方を持っていることが少なくありません。そのため、リファラル採用を続けることで価値観の近い人間ばかりが集まり、組織全体の多様性が損なわれる可能性もあります。こうしたリスクを防ぐために、他の採用手法を併用し、異なる背景や価値観を持つ人材も採用することで多様性を保つなど、組織全体のバランスを考慮した工夫が必要でしょう。
リファラル採用のまとめ
・リファラル採用は、既存従業員に友人や知人を紹介してもらう人材採用手法
・リファラル採用のメリットは、採用コストを抑えられるうえ、ミスマッチが起こりにくく、定着率が高い点
・リファラル採用を導入する際には、仕組みの整備や従業員への周知、組織における多様性の確保といった点に注意が必要
(免責事項) 当社(当社の関連会社を含みます)は、本サイトの内容に関し、いかなる保証もするものではありません。 本サイトの情報は一般的な情報提供のみを目的としており、当社(当社の関連会社を含みます)による法的または財務的な助言を目的としたものではありません。 実際のご判断、手続きにあたっては、本サイトの情報のみに依拠せず、ご自身の適切な専門家にご自分の状況に合わせて具体的な助言を受けてください。